FC2ブログ
「明日から一週間出張なのですが、どれくらい深刻でしょうか?」

と聞いた僕に対して、その日本人の医師は即座に

「一刻を争います」

と答えました。

このやりとりがされたのが今週月曜の午後のこと。
結果として、4日間の入院生活を経て、息子は元気に中国の病院を退院しました。でもそれはあくまで「結果」であって、「もし」や「たら」や「れば」がいくつかそこに挟まっていたら、もしかしたらそれは違った結果になっていたのかもしれないです。

月曜日の朝に息子に「熱がある」と言ってきたのは奥さんで、僕はたまにあるいつもの風邪か何かと思い、「そうか」と残し、仕事に行きました。でもその日はいつもと少し様相が異なり、午前中に奥さんから「いつもと完全に様子が違う」という連絡をもらいました。リストにすると数十行ほどやらなければいけないことを抱えていた僕は、そのメッセージに対して「片眼をつむる」ような気持だったのですが、上司を含め同僚が「家族最優先」ということばを投げかけてくれたことが後押しになり、早退して日系の病院に行き、冒頭のことばを聞きました。

医師の初診は「通常の風邪ではここまで激しい頭痛や首まわりの痛みは発生しない、万が一だが髄膜炎の可能性もあるため大きな病院で検査が必要」とのことでした。髄膜炎。初めて聞く名前ですがどう考えても良い響きではない。そして冒頭の説明。

紹介された中国系の大きな病院へ移動する途中にGoogle教授にいろいろと聞いてみます。そう、大体にして不安な心理状況での情報検索は、その不安を増長するだけになりがちで逆効果なんです。それはバックパッカーが体調不良になった際に地球の歩き方の最終ページ付近にある健康情報を読み、健康そのものの若者が「もしかしたら自分の現在の状態は破傷風なのではないか?」などと不安を募らせるそれに似ています。

検索したそこにはたくさんの読みたくない言葉が並んでいました。なんで?もしかしたら?どうして?なんて言葉が頭をよぎり、自分ではどうしようもないことが次々と降ってくる、まさに尋常ではないストレスを強く感じていました。

そんな状態で到着した上海の小児科専門病院がまたすごかった。何がすごいってその規模と数。いったい何人ここにいて、普通に待ったら何日かかるのだろうか?というような人人人。

日本の保険が適用される僕たちはそのような人の群れをするりと通り抜け、奥にある専門ブースで受をしてもらえました。でもその後、7歳からこんなに採血するの!?とかそんないきなりMRI取るの???とか.改めてこの国の人の多さ故の、古めかしい乱暴さと、言葉を恐れずに言うと命の軽さ、そしてそんな環境から這い上がってくるのであろう、野心的で世界を視野に入れた起業家の鋭さを想像したりしたのでした。

ずいぶんと端折りましたが、端的に言うと事態は少しシリアスだったんだけど、結果としては大事を逃れ、一方で非常に貴重な経験をしてたくさんのことを考えさせられました。はい、随分と端折っているのでどこかでフォローしたいくらい、僕の精神状態もパキスタンのフンザのように、高山と深い谷を両目に並んであっちにこっちにしていたのです。ここではそれを少し横に。


巨大な世界の二大超国の表と裏、一般の人々の懐事情、富裕層の圧倒的パワー、目に見えるヒエラルキーとそれだかろこそドライブされる社会の核心、超格差と多様性、地球の持続的存続と私的視点、などなど。息子が入院する、というひとつの経験でしたが、そこは本当にいろいろなことに満ちていました。まだまだ整理できていないですが、興味ある人と話をして深めていきたいテーマがとても多かったです。

そしてなにより「いつもあたりまえにそこにある」が実はぜんぜんあたりまえではない、ということを改めて強く認識しました。これは毎日必ず見る、例えば洗面所の鏡あたりに貼っておきたい!笑、くらいの発見でした。

はい、わかってます、皆さんがそれにずっと前から気づいているのはよーくわかってます!でも僕は今回の経験でそれをとてもよく理解したのでした。

今日、息子が退院できて、一緒に家に帰ってきて、夕食を一緒に食べながら、友達がお土産にくれたおいしいクラフトビールを飲みながら、ぼんやりそんなことを考えていました。

もしかしたらこれが全部かもしれないな、なんて。


スポンサーサイト



Secret

TrackBack URL
→http://fourtomorrow.blog26.fc2.com/tb.php/1010-8202a419