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中学校の頃、女の子が好きな男の子にミサンガを編むってのが流行ってた。

ミサンガって知らない人もいるかな?サッカー選手が手にまいてるやつ。

当時Jリーグが発足したばかりで、たぶんその影響だと思うんだけど、猫も杓子もミサンガ編んでた気がするなぁ。

貰った方も貰った方で、自然に切れるまで付け続けてたりしたものだけど。

今考えると、若い時にありがちなエピソードだよなあって、ちょっと恥ずかしくなったりもするんだけど、

それでも、「誰かを思って何かをプレゼントする」ってのは素晴らしいね。

いくつになっても貰えば嬉しいものだし、それが手作りであれば尚更のこと。




俺はね、今までの人生で一度だけ「手編みのマフラー」を首に巻いていたことがあります。

今日はそのマフラーにまつわるお話。




俺が中学生のとき。

ちょっと前に書いたように、そのころちょうど親父と一緒に暮らしだして。

家族が一人増えた以外は、別段今までと変わることのない日常生活だったわけだけどね。

病気したとは言え、親父も床に臥していたりとかそういうことはなかったし、

なんつうか、久し振りの「普通の家族」ってやつね。

親父がいる日常、ってのは、思春期の俺にはちょっと照れくさかったりもするんだけど。



俺の中学校は校則が厳しくて、例えばホック(首元のやつね)は必ずとめておくこと、とか、

スカートの下にジャージは穿いてはいけないだとか。

そんな中でね、冬になるとさすがに寒いものだから制服の上にコートを着たり、マフラーを巻いたりは認められていて。

防寒の意味ももちろんあるんだけどね、中学生なんてお洒落したい年頃真っ盛りなわけじゃん?

校則が厳しい分、そういうところで差別化を図りたがるものなわけ。

俺もご多分に漏れずダッフルコートを羽織ってマフラーを巻いて行ったりして。

寒い季節だけ許された、ささやかな非日常を楽しんでいたわけなんだけども。



あるときね、親父が突然俺に言ってきたんだよね。

「お前、このマフラー使うか?」って。

俺に差し出したのは、親父がいつも使っている茶色のマフラー。

ちょっと荒い目で、端のところに白いラインの入ったシンプルなやつで。

あんまりそういうコミュニケーションに慣れていないもんだから、特に断ることもなく「ありがと」なんつって受け取ったと記憶しているんだけど。


なんとなく使っていたそのマフラーなんだけど、毎日首に巻いているうちに愛着が湧いてきて。

そのころすでにだいぶいい歳だった親父が使っていたものだから、だいぶ渋い感じではあったんだけど、

それがまた背伸びをしたい年頃の俺には妙に嬉しくて。

結局高校生になっても使い続けるくらい、それはお気に入りになったわけなんだけどね。



ある冬の日、俺がいつものようにマフラーを巻いて外出しようとしたとき、親父が言ってきたんだよね。

「久し振りに見たなあ、それ。」

それまではずっとおやじが使っていたものだし、確かに懐かしさは感じるくらい年月は経っていたんだけどさ。

「それなあ、俺が○○に勤めていたときに貰ったんだよな。」



うちの親父はその昔、芸能プロダクションに勤めていてね。

お昼の顔のサングラスの人の所属しているところ。

俺は小さかったんでもちろん覚えていないんだけど、有名人に抱っこされてる写真なんかはいっぱいあるんだよね。

どうもこのマフラーはそこで働いてるときに貰った、と。



「ア○フィーの高○沢、知ってるだろ?

そのマフラーな、ファンが高○沢に編んできたんだよ。

で、あいつ使わないっつうから、お父さん貰ってきたんだよ。」




ダメじゃんッ!!

貰っちゃダメじゃんッ!!

ファンはお前の為に編んだわけじゃねえから!!

もちろん俺の為でもねえし!!



完全に途中まで「ちょっといい話」だったのに!!

そこはどう考えても、

「それなぁ、お前のお母さんが結婚前に、お父さんに編んでくれたんだよ。」じゃね??

そんなもん、映画化じゃん!!

完全に映画化されるクオリティーのエピソードじゃん!!


つーかなあ、まず高○沢が巻けッ!!

そこは巻け!!

百歩譲って使わないとしても、あげるなよ!!

譲渡するなよ!!







それから俺は、そのお気に入りだったマフラーをそっとタンスの奥に忍ばせてさ。

今ではもう使うことはなくなったけど、それでもさみしいときや悲しいときはそれを引っ張り出してくるんだ。

若かったあの頃を思い出してさ、マフラーに誓うんだよ。

「俺、もうちょっと頑張ってみるよ。」ってね。






って、全然「いい話」にまとまってねーからッ!!

そんなことしてねーからッ!!


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