FC2ブログ
ちょっと前の話になるんですけど。先月ですわ。

軽い事故を起こしてしまいまして。

仕事中にトラックで。

ヒャクパー俺が悪いんですけどね。


そのときの話をちょこっとこの間のライブで話したんですけど、あんまり食いつきがよくなかったんで、

最後に「っていう夢を見たんですけどね」なんつって夢オチの体で終わらせまして。


まあ実際にあった話だったんですけど、ライブ中では時間も限られていますから。

ほんの一部分を話したにすぎなかったわけで。

今日はその全貌をお話したいと思います。




先月のある日の仕事。

福島まで荷物を届けた帰りだったんですけど。


荷物を卸して、さあ帰ろうというところで。

客の家を出て、右に曲がって大通りに出ようとしたとこでね、その道が行き止まりだということに気付いたんですよ。

けっこう広い道だったにも関わらず、トラックの先には三件ほどの住宅でふさがれていて。

いかんいかん、戻んなきゃってことでトラックをバックさせたんですけどね。


実はこの日、帰ってからアルバムのレコーディングがはいっていまして。

ちょっと急いで帰らなきゃって焦ってたのもあるんですよ。

若干注意力が散漫になっていたかと。

まあ、それがいいわけにはならないですけど。


ちょっとバックさせたとこで。

クラクションが鳴ったと思うのと同時に「ゴンッ!」って鈍い音が。


しまった!って思ってすぐに車から降りて。

俺のトラックの真後ろに、軽自動車がついてて、それにバックで追突したと。

どうやらその行き止まりにある家の住人らしく、ちょうど帰ってきたとこだったんですね。


急いで運転席から出てくる男性に謝って。

見たらさ、モロに「昔ヤンチャしてました」みたいな風貌で。

「すいません!怪我はなかったですか!?」って謝ったんですけど、向こうは開口一番、

「すいませんじゃねえよ~。なにやってんだよ~。」って。

「すいません」以上にこの状況で適切な言葉ありえねえだろうよ、とはもちろん言えずに平謝りに謝ったわけですけどね。


で、よく見てみると車にはその男性の奥さんと子供二人が同乗してまして。

三人とも当然車から降りてきてね。

幸い、誰も怪我はなく、向こうの車のボンネットがちょっと浮いた程度ですんだんですけど。


最初はちょっと怖いかなと思った旦那さんも、しばらく話していると、けっこういい人でね。

奥さんの方も(大きな事故でなかったというのもあるだろうけど)、怒っている様子はなく、

むしろこちらを気遣ってくれているような感じで。

ちょっとホッとしたわけだったんですが。


で、小さな事故ではあっても、保険の関係で警察を呼んで事故証明というやつをもらわなきゃいけないんですよね。

俺の携帯で警察を呼んで、到着を待つことに。


時間はそろそろ日も暮れる夕方。

少し肌寒くなってきているし、向こうの家族は家の目の前ですから。

ここは俺が外で待ってますんで、みなさんは家の中で待ってて下さいということを伝えて。

俺は先ほど追突した二台の車の前に立って、警察の到着を待っていました。


ちょっとしたらね、子供二人が俺のとこにやってきたんですよ。

五歳と三歳の、男の子二人の兄弟。

大人の我々にしたら、小さい事故であっても、加害者はもちろん被害者だってやっかいなものですけど。

子供にしたら、イベントみたいなもんですよね。非日常。

むしろ、わくわくするってもんですよ。


へこんだボンネットの自分の家の車を見ながら、無邪気に俺に話しかけてくる二人。


「僕はね、全然怪我なかったから平気だよ!!」

「でも良かったね~、トラックはなんともなくて。」

「うちの車はね、もうすぐ変えるから大丈夫だよ!」

「おっきいのに変えるってパパが言ってたもん!」


基本的にはね、俺をいたわってくれてるんですよ。

さすがにあの両親あっての、この子等というか。

いい環境で育っているなあ、というのが率直な感想。


なんですけどね。

やっぱ気まずいわけですよ。俺のせいで事故起こってるわけですから。

今回の場合は、俺のせいにも関わらず、向こうの車だけが被害を被るかたちになってるわけでね。

特に三歳の子の方が、「でも、トラックがなんともなくてホント良かったね!」って、

ムチャクチャ無邪気な顔で連呼しまくるんですよ。

なんかさあ、申し訳なくなってしまって。

「いや~、おじさんはトラックの方がへこんでくれた方が良かったんだけどね~。」って苦笑いですよ。


で、そのうちに、家の前にある畑の説明であるとか、幼稚園の○○ちゃんが好きなんだとか、

事故とはまったく関係ない話を俺にしてくれて。

しばらくしたら、思い出したように「最近補助輪とれたんだよ!」って自転車に乗ってきたからね。

そこらを爆走。

俺のこと、ちょっとした親戚のおじさん感覚ですよ。やりたい放題。

まあ、可愛いから全然いいんですけど。


でさあ、やっぱお役所仕事というか。

警察来るのが遅くてね。

結局一時間くらい待ってたんだけど。

途中で子供等が言うんですよ。「警察遅いね~。」って。

ホントだね~、まだ来ないね~、なんつって話してたんだけどさ。

五歳の子の方が言うんですよ。


「僕ね~、警察って知ってるよ!!泥棒をね、ピストルで撃つんだよね!?」


撃っちゃったよ!!いきなり撃っちゃったよ!!

さすがにこれには笑ってしまって。

「ええ~?そんなにすぐにピストル撃つかな~?」って聞いたんだけどね。

そんな俺に、またもここんちの子は暖かい言葉をかけてくれました。


「おじさんはたぶん撃たれないから、大丈夫だよ!」


いやあ~良かった!!

もしかしたら、これ撃たれんじゃねえかな~、なんて思ってたんですけどね。

事故起こしちゃってるからね、撃たれても文句は言えませんから。

そっか~、たぶん大丈夫かあ~。こりゃあ心強いや。


って、撃たれるかっつーのッ!!

むしろ、「たぶん」ってどういうことだよッ!!

え?あんの!?可能性としては「撃たれる」も考慮しろって事??



そんでもってその子が再び家に。

すぐに三枚の紙を持って戻ってきまして。

「これ、僕が描いたんだよ!」って、自作の絵を見せてくれました。

「これはねえ、みんなで海に行ったとき。」だとか、「これは僕んち。」だとか、丁寧に解説を頂いて。


最後の三枚目の絵には、なにやら魚らしきものが描いてあってね。

俺に聞くんですよ、「金色の鯉って知ってる?」って。

そんなに鯉の事詳しいわけではないですから、皆目見当つかなかったんですけど、

とりあえず知ってる名前で「錦鯉かな?」って答えたんですよ。

そしたら少年、非常にびっくりした顔で「正解!!」って。

まさか、どこの馬の骨かもわからんこのおじさんが「錦鯉」の存在を知ってるとは思わなかったんでしょうね。

ふふふ、世界は広いぞ、少年よ。


で、この少年。

自分の書いた三枚の絵を再びじっくり見ながら、俺にこう言ってきました。


「あのさあ、うちにこんなにいっぱいあってもしょうがないからさあ、

おじさんに一枚あげるよ。」



おすそわけ、みたいなノリで。

田舎の方でしたから、けっこうあるんでしょうね。

「ちょっと、つくりすぎちゃったからよかったら肉じゃがどうぞ」みたいな、近所付き合い。

もうね、塊り。善意の塊りですよ。


考えちゃうよね。迷っちゃうよね。

確かに仲好くはしてましたよ。たかが数十分ではあるけど。

それにしたって、さっきあったばかりの子供に、絵を貰うって。

しかもさ、俺はさっきこの子等が乗ってた車に、事故を起こしてるんだぜ!?

加害者よ。悪者。

情操教育上、そんなやつにモノをあげるという行為は、果たして是か非か、ということだな。

子供の善意を踏みにじってしまうのは良くないことだけどさ、この場合はちょっと違うんじゃないかと。


ここはひとつ、心を鬼にしてだね。

言ってやりましたよ。




「じゃあ、鯉のやつで。」




って俺!!

貰うんかいッ!!

貰っちゃうんかいッ!!



そんなわけで俺の車(二代目カートゥモロー)には現在、

あの子の思い出と、俺のほろ苦い思い出が両方つまった一枚の絵が載っているわけで。


あの絵を見るたびに、

「いかなる時も、車を運転するときは周りに気をつけねばならん」ということと、

「錦鯉って金色のやつもいる」ということを思い出すわけです。

スポンサーサイト



Secret

TrackBack URL
→http://fourtomorrow.blog26.fc2.com/tb.php/571-f93dae07