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〈ところどころユーミンを挟みながら前回のあらすじ〉

沖縄滞在三日目、美ら海水族館に行く事を決意した長沢(はサンタクロース)。

レンタカーを借りる事が出来ないアクシデントを乗り越え、ようやくバスに乗る!!

目指すは美ら海!

沖縄の海の生き物(と、あの人のママ)に会う為に!!






そんなわけで、遠回りしつつも、なんとかバスに乗りまして。

これでやっと美ら海水族館に行く事が出来るなあ、なんて少し安心したんですけど。

ただね、このバス。

俺が地元で乗ってるのに比べたら、さすがに停留所間の距離は長いんですけど。

それにしても、それなりの頻度で停まるんですよ。

なんていうか、普通の路線バスなんですよね。

地図で調べて、距離があるのは知ってますから。

このペースで果たして今日中に着くのか?なんて、ちょっと心配にもなって。


けっこう早めの停留所で、手ぶらで乗ってきたおばさんがいましてね。

思いっきり地元の人乗ってきちゃったよ!って。

ちょっとそこまで、の人が乗るバスを選んだのは果たして正しかったのだろうか、

って余計に不安になりましたよ。



俺の不安をよそに、着々と目的地に進むバス。

沖縄だしこれしかないだろ、って事でiPodでCoccoを聴きながら揺られる事2時間、

ようやく名護バスターミナルに到着。



事務所に居た職員さんに、乗り場と那覇に帰る終バスの時間を聞いて。

いよいよ美ら海行きのバス停のベンチに座ってたんですけど。

ふと、隣りを見たらね。

ガラガラのターミナルのガラガラのベンチに座ってるんですよ。

さっきの、手ぶらのおばちゃん。



お前も美ら海かよッ!!

そんな手ぶらで観光かよッ!!



2時間乗ってきてますからね。

さすがに、ちょっとそこまで、とは言えない距離。

案の定。そこからさらにバスで1時間弱。

おばさんも美ら海水族館前のバス停で降りて行きました。

実際どうか知りませんけどね。

地元の人だと仮定すると、やっぱ沖縄の人は自由度が高いなあ、と。

今日は水族館行っちゃおうかしら、で、ふらっと手ぶらで家を出て。

バスで3時間かけて来ちゃうからね。

そのくらいの時間はものともしないっていう。

これが噂の沖縄タイムってやつか、ってちょっと感動すらしたんですけどね。




で、念願の美ら海水族館。

いやあ、楽しかった!!

今まで他で見た事のない深海の生き物とか、大きな水槽にいる魚群達。

その水槽の3分の1くらいのスペースに、レストランが隣接してましてね。

巨大水槽の目の前のテーブルで、ナポリタンスパゲティ食べてきました。

こんなシチュエーションで飯を食うなんて!!


俺ね、こう見えてもけっこう人見知りで。

一枚くらい記念写真撮りたかったんですけど。

一人なもんで、誰かに頼まなきゃいけないわけなんですけど、当然頼む事も出来ず。

まあ、写真には写らない美しさだもんな、って自分を納得させてたんですけど。

そのレストランのあまりの絶景に。

横が壁で仕切られていて、周りの目が比較的少ないってのもあって。

水槽をバックに、勇気を出して自撮りってやつをしてしまいました。

確認したら、薄暗い写真の左横の辺りに、心霊写真かっていうくらい暗い顔のおじさんが写ってました。

写ってたっていうか、写り込んでました。




美ら海の美らを満喫しまくって。

楽しい時間はあっという間で。

そろそろ出ないと那覇に帰れなくなる時間。

後ろ髪を惹かれつつ、バス停に向かいました。



でね、やっぱりいるんですよね。

手ぶらのおばさん。

そりゃそうですよ。俺とほぼ同じとこから乗ってきてますから。

いくら沖縄の人とはいえ、ここから那覇に帰るには、条件としては俺と同じですから。

心なしか行きよりも満足気なおばさんの顔を見て、なんとなくこっちも良い気分になったりしてね。

観光という意味では、埼玉県民も沖縄県民も満たす中水族館はすごいな、なんて思ったりして。

そんなこんなで帰路に着きました。



行きとは逆に走る事1時間弱。名護バスターミナルに着いて。

那覇に帰る最終バスを待って、ベンチに座りながら再びiPodをCoccoに。

今日の思い出を反芻しながら、いい気分で座ってたんですけどね。

どうしても視界に入ってきちゃうんですよ。

ベンチ横の自動販売機の前に立つ、例のおばさん。

まあ、自販で飲み物買うだけなら、別にそこまで気にはならないんですけど。

おばさんね、自販にものすごい顔を近づけて、全ての飲み物を確認してるんですよ。

それこそ、ひとつひとつの缶の見本を舐めるように凝視してて。



なんか今まで、ちょっと親近感すら覚えてたんですけど。

同じ距離をバスに揺られて、同じ場所を観光して。

住む場所こそ違えど、俺たちは同志だ、くらいに思ってたんですけど。

あれ、もしかしたらちょっと危ない人なのかしら?って。


確かにね、メガネは掛けてましたけどね、おばさん。

にしても、いくらなんでも。そこまで凝視しなくてもわかるでしょ、って。

これ、トリッキーな類いの人種である可能性はなくはないぞ、と。


さっきまであんなに抱いてた親近感はどこへ行ったか、

変な絡まれ方したら嫌だなと思って、そっちの方はなるべく見ないようにしたんですけど。




少し経って。

おばさんの気配がね。自販を離れて、ベンチの方へ。

やっと飽きたか、なんて思ったんですけどね。

おばさんが。ベンチは空いてるのに、グイグイ俺の方へ向かってきてるんですよ。

ええ〜、うそ〜ん、ってなって。

この空いてる状況で、俺の隣りに座ろうもんならいよいよだな、と思って。


さすがに不穏な空気を感じておばさんをチラッと見たらね。

おばさんが何か俺に言いたげにこちらを見ていて。

ついに俺の目の前に立ったんですよ。





わかったわかった。覚悟を決めよう。


この、ちょっと風変わりな女性。

これから俺になんらかの形で絡んでくるのは確定なわけでね。

人もまばらなこのバスターミナルで。

事実上の一対一。

あらゆる可能性を想定して、冷静に対処しなければならない、と。


「あなた、なんであたしの事ジロジロ見てたのよ!」

あるよね。さっき、チラッと見たからね。

自販機に思いっきり顔を近づけてたおばさんを、チラッと見たからね。

全然ジロジロなんて見てないけど、この手の人ならそのくらいの事は言ってくるだろうね。


あとはあれね。

「あなた、ずっと一緒だったわね。良かったらご飯でも食べない?」のやつ。

アバンチュール的なアプローチでなかったとしてもね。

見ず知らずのおばさんと飯を共にするほど沖縄的社交性のない俺。

なんとか失礼のないように断らなければいけないよね。


やってやるぞ、と。

どんなパターンで来ても、対応してやると。

お喋りこそ我が人生、の俺。

このくらい得意のお喋りで切り返せなくてどうする、と。

意を決して、耳からイヤホンを外しました。




向かい合う、俺とおばさん。

俺がイヤホンを外したのを確認して。

おばさんが遂に口を開きました。







「Can you speak English?」







って、外人ッ!!

まさかの、外人パターンッ!!

観光してたっていうか、サイトシーイングしてたパターンッ!!


沖縄の人どころか、埼玉よりも遥か彼方、のパターンッ!!!



どうやらおばさん、お茶を飲みたかったらしく。

砂糖の入ってない飲み物はどれですか?って聞いてきました。

確かに、言葉がわからなかったら、缶見てもどれが何の飲み物かわからないですからね。

なるほど、であればひとつひとつ缶を凝視してたのも合点がいくというもの。

砂糖の入ってない飲み物をひとしきり教えると、緑茶を買って満足そうに「サンキュー!」って言ってきました。



しかし、顔が思いっきりアジアだったし、乗ってきた場所なんかもあって完全に地元の人だと思ってましたね。


で。

それならそれで、手ぶらすぎるだろッ!!

どれだけ地元気分で異国満喫してんだよッ!!





という事で、沖縄。

いろんな意味で非常に楽しかったです。
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